morimoノリノリ

趣味は美術・工芸品、食べ歩き、お洒落です。気分が乗った時だけ思いを書き残します。

アイデンティティーとは?

離婚届を出して話題再燃の「ゲスの極み乙女。」。川谷絵音は『私以外私じゃないの』を地でいったのだろうか。副次的効果でYouTubeでの再生回数がグッと伸び、コカコーラさんもさぞお喜びのことでしょう。というわけで、この曲の歌詞から、アイデンティティーとは何か考えてみたい。Wikipediaでは、アイデンティティーとは「自己同一性(心理学における概念)」 と説明されているが、正確な概念は各専門領域ごとに定義が微妙に異なるとか。


ゲスの極み乙女。 - 私以外私じゃないの

 

私以外私じゃないの

 

最初のフレーズには、以下の意味がある。前半は1の意味だが、最後に2の意味が重なるのだ。

    1. 自分を偽っている私は私じゃない。

 

  1. 誰かに替われない自分が私である。

 

冴えない顔で泣いちゃった夜を重ねて
絶え間のない暮らしを今日も重ねた

 

人は社会というものに属しているから、他人との関係において私が成立する部分がある。

自分の弱いところや嫌なところは隠したいし、どうしても譲れない部分があっても、他人に合わせてしまう私がいる。
何故そんなことをするのか? それは、絶え間のない暮らし=変化のない安定した日々を送りたいから。嫌われるのが怖いからである。

良くなりそうな明日を期待する度に何度も今日を鏡台の裏に隠したわ
映る私は何回も瞬きしては 変わる心に簡単に動揺したわ

 

鏡台は自分を映す鏡である。報われない気持ちがあっても、本当の自分を隠して生活を送っていた。

主人公はこれまで、みんなに好かれていたのだ。成長して変わるところもあるし、世の中の変化に適応しなければならないこともある。嫌われるのが怖いから、変わることに戸惑ってしまう。自分を映す鏡には、人の評判もよく映るのだ。

だけど意外と目を瞑った瞬間に 悪くないなって思いながら明日を悟ったんだ
私以外私じゃないの 当たり前だけどね
だから報われない気持ちを整理して生きていきたいの
普通でしょう?

 

ついに主人公は、辛くなって目を閉じてしまうが、外の世界を閉ざすと自分の声が聞こえてくるものだ。

自分の声に素直になるのも、悪くないと悟るのである。
私以外の私は、私じゃないから、偽ることで報われない気持になるなんてやめたいと。

恥ずかしくて言えないけど
私にしか守れないものを 身を削って紡いだら
案外さ、悪くないかもよ

 

自分について深く考え、見つけ出した答えを紡いだら、自分の良さが何かがわかったのである。

私以外私じゃないの 誰も替われないわ
今日を取り出して逃げないようにして
明日に投げ込んで目を開けたんだ

 

誰にも替われない自分が私である。

主人公は、自分の中の他人の部分を取り出して、目を開けたら何も変わらないことに気づくのである。

安定した日々に起こる変化を恐れていたけど、何も変わらないのだ。むしろ、自分の性格や、良さがハッキリする。アイデンティティーが確立することで、周りはつきあいやすくなり、社会で“生きる”ことになる。それが歌詞の最後のフレーズだろう。時代が変わり、自分が時代に適合して変わっても、自分の根っこの部分は変わらないでいられるのだ。

息を吸い込んだ

 

まとめると、アイデンティティーのコアは、自分の中の、社会に誇れて、他人では替わりのきかない部分のこと。自分の弱さや嫌な部分もあるけれど、自分の中の社会に誇れる部分が押さえてくれる。人は社会の中で生きているのだから、自分の中で社会に誇れる部分を紡いでいき、それを社会に表現していく活動がアイデンティティーではないだろうか。表現することが重要で、自分というものを、自分と社会とで一致させる活動全般のことだと考える。

 
ベッキーーーーー